床屋「今年入ってからハンゲーで麻雀してたんすけど、そこでいつも一緒に卓囲んでた名古屋の女の子がいて、何回かこっち(東京)で会ってつきあうようになったんですよ。で、彼女名古屋で助産婦やってたんですけど、今度東京に越してくるんすよ。」
付き合い始めてから知った事実。
彼女は幼い頃両親が離婚して結局母親についていったんだけど、高校の頃にその母親が他界して。父親は蒸発同然だったので小さいころから会ったこともなく、記憶すらないそうな。貧しかったんだけど負けず嫌いで、勉強だけは誰にも負けないってので京大医学部に進学して卒業してまずは助産師になったんだけど、医者になるのにインターンで2000万とかの金をおさめないといけないらしく医者になるのはあきらめた。助産師でも十分生きていけるし。
そういう彼女なので、試験とかそういう場になると血が騒ぎだして「絶対負けない」モードになるそうな。そういう性格が災いしてか、病院の仕事でストレスを抱えることになって、東京移住のために吉祥寺の病院に転職が決まってたのも断ることに。
「多分ストレス性の甲状腺障害なんすけど、働けないし、東京の真ん中は辛いから、飯能に引越きめたんすよ。空気いいらしいし。今日不動産屋行ってきて。遠いからまだ家みてないんすけど。」
「そんなわけで、ちょうど移転したかったってのもあって、しばらく休業することにしたんすよ。やってみたかった仕事とかやってみようかなと思って。あの箱みたいなバイクでピザの配達とか。」
「一緒にずっとやってると打ち方とかわかってくるんすよ。次何捨ててくるとか大体わかります。正直麻雀は最初からそこまで強くなかったんだけど、同じ卓でやってると、情ってあるじゃないっすか。彼女には勝てないっすよ、さすがに。」
「来月26日で一旦終わりっす。なんかあったら携帯に連絡ください。あ、道具は持ってきますから、玄関に新聞紙敷いて待っててくださいね。」
「じゃ。」