ある一匹のセミの寿命

2009.08.04 00:33 - Category: 日常まんご -

昔住んでたマンションの同じ棟にある友達の実家に遊びに行った。そのオカンから聞いた話。

その友達の実家は9階なのだが千里丘の上に建っているため、大阪平野を一望できる眺望で、吹き付ける風が強い。

セミが一匹、そのベランダに這いつくばって鳴いていた。

その鳴き声は耳をつんざくような大音響ではないので、かなり弱っているようだった。セミの寿命は7日といわれている。このセミもそろそろ土に還るのだろう。せめて自然の中で天寿を全うさせてあげようと、ミミミに濁音のついたつぶれた声で鳴くセミをむんずとつかんで、大阪平野に向かってえいやと放り投げた。セミは一瞬失速したように見えた次の瞬間、ブンッッっと音をたてて舞い上がっていった。

すると背後からカラスが矢のように襲いかかり、今まさに大空に躍り出んとしたセミをくわえて飛び去っていった。

終電おりて実家への帰り道、脱皮したてのアブラゼミを見た。
といっても、結構な時間がたっていたようで、すでにくすんだクリーム色だった。

小学生低学年のころ、山口の母親の田舎でセミの幼虫を捕まえて、ガラスの容器に入れて従兄弟たちと妹と4人で夕方から夜中までずっと眺めていたことを思い出した。幼虫の背から月夜の薄明かりにぼんやり光る半透明の青白色のセミがゆっくりゆっくりと出てくるのを身じろぎせずに凝視していた。

あの夜を忘れることはないだろう。

ちなみにセミはカメムシ科だそうな。

cicada


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