田宮二郎版「白い巨塔」に、ケイ子と財前五郎の実母きぬが京都旅行に行くシーンがあります。五郎が唯一心から信頼している女性に自分の母親を託し、ケイ子がきぬを通して五郎をより深く知るきっかけになるシーン。
その二人が、なんとなく見覚えのあるロケーションで湯豆腐を食べている。
こ、これは…思い出深い南禅寺の「奥丹」ではないか!
「南禅寺に行きたい、湯豆腐を食べたい」と言ったあの佳人と出かけた思い出の場所。
最近でも思い出すといまだに胸が痛かったのだが、いきなり画面に出てきたので面食らってむしろ懐かしい気持ちになった。

白い巨塔の当時は、1978年。
その時は、2007年の、確か秋だった。
昼下がりのお客が少ない時間だったので、広い座敷がほぼ貸し切りで、ぼんやりと日が入る窓際の席。七輪と、昆布だしに浮く円形に並んだ豆腐。濃い味の緑色の味噌?がかかった田楽。もう二度と行くことないだろうな。