2007.06.18

明石の明石焼:今中

今日は明石へ。目的は明石焼。
明石焼は関東では案外知られていないようで、名前は聞いたことがあってもたこ焼きとどう違うの?などといわれたり。

明石焼のフォームファクターはまさにたこ焼きのそれなのだが、別名玉子焼とも言われるだけあってたこ焼きよりタマゴの割合が高く、生地はやわらかめのだし巻きタマゴのよう。通常ソースは使わず、だしで食べる。タコ以外の具は一切入っておらず、タコと生地、焼き、そしてだしで勝負が決まる。

関西のたこ焼き屋ではたこ焼きと明石焼のダブルキャストを行っているお店も多い。今朝は松竹座裏のお店で食べたのだが、やはり本場の専門店で食べてみたいと思いたち、今日は一路明石へ向かった。

明石は玉子焼屋が星の数ほどある。駅前そして商店街には、いかにも観光客用のお店から、地元の人たちがちらほら入っている店までさまざまなものがあるが、今回選択したのは明石漁港の近くの住宅街のまんなかにある地元のお店「今中」。

明石大橋を一望できる堤防に座り午前中の腹ごなしをして、正確な場所を探し住宅街の路地を歩き回り、ようやく見つけたお店はカウンター4席と、4名ぎちぎちに座れる狭い座敷のお店。店内にはおばあさんがいて、昼ドラが流れていて、お品書きは玉子焼600円のみ。

生地の入ったボウルをおばあさんがおもむろに取り上げて熱し始めた鉄板の上にかかげ生地を流し込む機会を狙っているそのときに、奥にいたおじいさんがむっくりと動き出しお水を出してくれたのに多少焦った。カウンターの向こうの台所の暗がりの中に微動だにせず座っていたので、人がいるとは思わなかった。

5個4列の穴が開いた鉄板に生地を流し込んだが、鉄板の温度は流れる生地にジューとは反応しなかった。しばらくして鉄板の表面の生地がかたまり始める程度でかき回すように一度ひっくり返す。すると熱し固まった部分が、まだとろとろ状態の球の真ん中に移動する。これで玉子焼の焼き具合がより均質になる。これが外パリパリ中とろとろのたこ焼きとの最大の相違点なのだ。

ここで4人組の遠方客が登場。注文が入り、おばあさんが次のセットの生地を別の鉄板に流し込む。そこに孫らしき20代の男の人が帰ってきて「おばあちゃん、替わろうか。大丈夫?」と声をかけるがおばあちゃんは「大丈夫。」と返す。今中ではこのままの味が続いていくのだろう。

二人分の40個を一通り3回ひっくり返し、数個の位置を入れ替えて火を調節。そして形ができあがり焦げ色がつくと、でかいゲタのような板を鉄板にあてがい、ひっくり返した。板の上には20個の玉子焼が乗っている。

玉子焼には表面にわずかなこげ色がついていて、しっかりとしたテクスチャをもちながらも箸をあてるとぷるぷるとふるえる。しかしこれは時間をあせって口の中に入れてしまうと次の瞬間熱で口がきけなくなってしまうため、最初の熱いうちは半分に切るか、だしに温度を逃がしてから少しずつ口に入れるのがよい。そして少しさめてくると玉子焼自体の堅さが変化し、しっかりと結合して崩れなくなる。その瞬間から口に放り込む回転率が高くなり、20個をすっきりと平らげる。

アルションのスフレにすら勝る秀逸な食感といえよう。
このすばらしい明石焼に生涯一度でも出会えたら幸せです。

そして、再訪しました

Leave a Reply